manavee.comは、2017年3月31日を以って、サービスの運営を終了いたしました。

【利用者の皆様へ】

利用者の皆様には、ご不便をおかけして申し訳ありません。

授業動画は、Youtube上で引き続き掲載しております。講義で前提になっている資料は、別のページで利用可能にしております

しかし、授業動画を引き続き掲載するかどうかは、それぞれの先生の判断に委ねられておりますので、利用ができなくなる場合もございます。

どうぞご容赦ください。


NPO法人manavee代表理事 花房孟胤


【支援していただいた皆様へ】

本サービスについては、個人寄付、法人寄付をはじめとして、様々な形で応援していただきました。それは、本サービスの継続的な発展が期待されていたからであったと考えております。この度、manavee.comの運営を終了することで、そうした未来への可能性が閉ざされることになります。皆様の期待に応えられず、申し訳ありません。


【参加された先生の方々へ】

本サービスの運営は、先生として参加していただいた大変多くの方々の協力で成立しておりました。第一に、manaveeの活動に参加していただいてありがとうございました。第二に、本事業を通じて掲げていた目標を達成することができずに申し訳ありません。

授業動画の撮影は骨の折れる作業ですが、膨大な活動の積み重ねによって1万を超える授業をインターネットに公開することになりました。

活動の初期には、顔を出して授業を公開するということは一般的でなく、心理的な抵抗の強いことでありました。実際、アップロードした動画は、批判を受けたり、好ましくない自体を引き起こしたこともございました。こうしたリスクを一緒に背負って活動し、また実際に発生した多くの問題に対応していただき、ありがとうございました。

同時に、こうした先生方の膨大な労力の結集を、十分に活かしきれなかったことについて、情けなく思っております。すでにmanaveeという活動を終了する以上、manaveeの活動の枠内ではこの点について満足のいく責任のとり方ができません。重ねて申し訳ありません。

本活動とサービスは、先生方の想像もできないほどの膨大な労力なしには、利用価値のあるものにはなりませんでした。感謝の念に堪えません。


【経緯】

創業・運営・終了した者の責任として、これまでの経緯を整理した上で、反省点を以下に述べます。

<理解の前提>

manaveeは、社会的企業でした。社会的企業とは、利益の最大化を第一の目的とする代わりに、社会課題の解決、緩和を目的とする団体です。

社会課題として、例えば自然破壊など環境に関する課題、介護など医療に関する課題などいくつかに分類されています。そして我々は、教育に関する課題を取り扱う団体でした。より具体的には、「日本の大学受験における地理的・経済的格差」(2012年 - 2013年5月)、「日本の受験における地理的・経済的格差」(2013年6月 - 2014年5月)、「日本の教育における機会格差」(2014年5月以降)を解決する課題と定めて活動してきました。


<社会的企業の失敗>

社会的企業が失敗するのは、第一には課題が消滅すること、第二には、課題に対する解決策が有効でなくなることが挙げられます。第二の場合には、同じ課題に対して別の解決方針に変更することで、社会的企業として意義のある活動を継続することが可能です(ピボット)。manaveeは、第二の場合が当てはまり、課題を効果的に解決することができませんでした。また、ピボットについても失敗しました。


<解決の失敗>

manaveeの失敗について説明するとき、時間的な変化を考える必要があります。

2012年4月から2014年5月までの間は、キャンパス制度の失敗でした。「キャンパス」という大学生サークルを主にした団体を組織すること(キャンパス制度)で、授業動画の制作を試みました。この活動は、2013年の活動をピークにして限界を迎え、諸々の試行錯誤にもかかわらず、一定の規模以上に拡大したり、安定的に継続することができませんでした。

2014年5月、キャンパス制度の継続的な運営はできないと判断し、別の解決策を模索するため、事業部を立ち上げました。先に言うピボットを試みるためです。事業部では、manaveeに所属するメンバーの内的な動機をもとにプロジェクトチームを結成し、事業化を支援する形式をとりました。結果的には、大半のプロジェクトが途中で頓挫し、キャンパス制度とmanavee.comによる授業の制作、配信に代わる仕組みをつくることができませんでした。

2015年10月、団体として事業を立ち上げる能力、体力がないと判断し、事業部制度は失敗しました。manaveeはこの時点で、当初の解決策に次いで、新しい解決策を模索するピボットについても失敗しました。2015年10月から2016年6月まで、代替の解決方針を模索しましたが、manaveeの枠内で活動を継続する合理性がないと判断したため、manaveeという活動全体を失敗したと判断しました。


【反省点】

失敗した地点から本プロジェクトを振り返ることで、反省点を挙げて検討します。

第一の反省点は、活動開始当初に想定した法律関係にあります。具体的には、動画コンテンツの著作権が講義作成者の先生にあるという点です。manaveeは、Youtubeと同プラットフォーム上にて定められた方法でのみ使用するというように権利を限定する形で、先生方との法律関係を結びました。この背景には、当時大学生であった私のナイーブな良心があります。ボランティアで依頼するにもかかわらず、その上動画の著作権までmanaveeに所属するというのは公平でないと考えたため、上記のように自ら権利を制限する旨を明文化した経緯があります。

結果的には、その法律関係が原因となって、その後の発展の妨げとなりました。協業を持ちかけていただいた企業との連携が進まなかったり、動画コンテンツの新たな利用方法を試行錯誤すべき段階でも、先生方の逐次の承諾が原則となり、実務的に対応できなくなりました。さらには、manaveeの運営終了に際しても、いくつもの譲渡の相談があったにもかかわらず断念せざるを得ませんでした。動画コンテンツを有効に使うという点ではむしろ、著作権を一括してマナビー側に帰属させるべきでした。


第二の反省点は、manaveeにNPO法人格を与えたことです。manaveeの法人化の動きが始まったのは2013年です。当時、組織の拡大と知名度の向上にともなって、「ちゃんとした」組織になることが組織内では義務感のように感じられていました。その結果、「一般社団法人かNPO法人か」という二者択一のもと、NPO法人になるための手続を開始しました。判断に際しては、認定NPOになった際に寄付金が経費扱いになるという点がメリットとしてあげられていました。

法人化後は、次のような難点が表面化しました。はじめに、決算書類の作成や会員とのやりとりを始めとする継続的な経理・総務コストに貴重な人的資源を宛てざるを得なくなった点。次に、NPOの理念を後ろ盾にした保守的な意見が通りやすくなり、社内全体が保守化した点。第一の点は、NPO運営のみならず小規模法人の運営では一般的な課題であるため割愛します。

保守化の問題については、予見できずに悔やまれる点です。社会課題の解決というのは、元来、困難を伴うため、柔軟な発想と試行錯誤の繰り返しが必要になります。しかし、NPO法の立法趣旨がそもそも「市民活動の発展」にあるように、NPOにおける意思決定は多数決原理が原則です。実際、NPO法人化の後は、常識的で妥当な結論が支持され、一見して非常識な提案や奇抜な論理が受け入れづらくなる傾向が生まれました。実務的にも、1つ1つの意思決定を総会で後追いしたり、実現可能性の低いリスクの対応について時間を使う(いわゆるゼロリスク症候群)など、NPO法人を取得する果実がほとんどないままにコストと制約だけが増加する結果となりました。

結論としては、リーダーが責任と裁量を引き受けて一貫した意思決定をすることを目指していた我々の団体には、NPO法人は適しておりませんでした。


第三の反省点は、ある財団から補助金を頂いたことに起因する、無限に続くとも思われた事務コストを発生させたことです。

2013年末に同財団に申請したことがきっかけとなり、100万程度の補助金をいただきました。もともと、プロジェクトの採用担当者がmanaveeについて認知があり、アドバイスを受けて実際の利用用途とは異なる事業内容を申請したことが原因となり、監査の段階で問題が表面化しました。

同財団が申請時の書面通りの厳格な成果物を要求する一方、実際のプロジェクトは人員が変更になったり、プロジェクト内容の変更があったため、齟齬が生まれました。さらに、manavee内では継続的にバックオフィス業務に従事する人員がおらず、エビデンス作成にも多大な労力を要しました。

本件から得られた教訓は、紐付きのお金は大変面倒になりうるということです。社会課題を解決できると見込まれる人材ならば、労働時間の1割ほどを資金稼ぎに費やすだけでも十分な報酬を得られると思います。数千万程度の資金であれば、個人でやりくりする見込みも十分に立てられるため、余計なステークホルダーを介在させないという選択肢も妥当です。

100万という金額でも補助金を申請した背景には、マナビーの創業当時からビジネスモデルの脆弱さを指摘されていた危機感がありました。NPO法人格取得後には、創業者個人の持ち出しの状態を寄付と補助金によって解決するという道筋が想定されており、そこに向かってのアクションでした。


第二、第三の反省点には、主観的には共通した問題を見いだせます。すなわち、代表者として自分自身が正しいと考える解よりも、社会的な正しさを優先したことへの後悔です。私自身は、法人格の必要性や目指すべきビジネスモデルについて判断しきれていませんでした。自分で判断できなかったため、その場ではなんとなく正しいと思われた解をとりあえず選択してしまいました。このことが重大な悪影響を呼び込みました。

不透明な試行において道しるべとなるのは、結局のところ意思決定の一貫性であって、リーダーとしては常に自分が確信できる判断を貫くべきでした。社会的な正しさを窺って日和見をすることとは反対の考え方です。その観点から言って、とりあえず真っ当な組織を取り繕うためにNPO法人格の取得に手を出したことや、ビジネスモデルがないことを理由に組織の永続性を疑われた回答として補助金に申請しはじめたことは、間違いだったと言えます。

こうした日和見を許したのは、代表者として私自身の勉強不足と経験不足です。

法人格の問題であれば、民法を手にとって法人についての整理された考え方を学んだ上で判断すべきでした。資金の不安については、社会で自分の能力を換金する経験を積むことで、自分が使える金額感を育てておくべきでした。

社会課題は、その重要性にもかかわらず、現行の公的な制度や経済合理性の観点から見合わないために残されてきた課題であって、万人が納得する常識的なアプローチを積み重ねても、成功は見込めません。この度、manavee.comのサービスの停止だけでなく、manaveeの法人まで解散させる理由は、このようにもはや団体を自由な試行錯誤ができない環境にしてしまったためです。


【ご連絡】

必要がございましたら、以下のメールアドレスにまでご連絡ください。

communication.manavee@gmail.com

【注意】manavee.comについて、譲渡の相談を受けることがたびたびございますが、ソースコードについては特段の価値のあるものでなく譲渡する合理性が見いだせないこと、また動画コンテンツについては権利的な問題でmanaveeの判断で利用を許諾できないことなどを理由に、基本的にお断りすることになります。